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2024/5/8① 熊本地震を経験した首長として伝えたいこと

4月23日(火)、関東地方の町村長が集まる会合において、熊本県益城町・西村町長より、標記タイトルにて体験談をお聞かせいただき、多くのアドバイスを頂戴しました。

益城町は熊本県の中央・やや北寄り、人口約3.5万人、面積約66㎢。2016年4月の熊本地震で、唯一“2度の震度7”の地震が発生した町です。

その被害状況はメディア等を通じて報じられたものの、2度の震度7以外に、2度の震度6強や3度の6弱を含め震度1以上の地震(余震)が合計4,484度も起きたことは想像を絶するものがあります。。。

故に、メディでは報じられないところで、実際に何が起きていたのかを知るには、今回の様に現地で実際に体験された方のお話を聞くのが最も参考になる機会だと思います。

西村町長のお話の一部をお伝えします。開成町の地域防災力向上のため、いざ被災した場合の被害を最小限にとどめるために、ぜひ活かしたい、示唆に富んだお話でした。

〇発災直後の課題~被災者支援に関して~
・町内に多数の青空避難者や車中避難者(テント250張、約1,000人≒人口の約3%)
・福祉避難所に健常者が押し寄せ、要配慮者が利用できない状態に ⇒ トレーラーハウスやユニットハウスを避難所として活用。新たに21施設と福祉避難所の協定を締結(震災前5施設)

〇災害時のための協定
・自治体間で交わす災害時相互応援協定は、震災前はゼロ。その必要性を痛感し、現在は東は愛知県、南は鹿児島県までの7自治体と締結(開成町は3月に茨城県大洗町と締結。10年ぶり2件目)。
・震災後、災害時優先供給等応援協定を39の企業・団体と締結。

〇公助の限界、自助・共助の大切さ
・震災直後の避難所運営に約150名/全体250名の職員があたった⇒通常業務を含むその他業務に手が回らず⇒他自治体からの応援の必要性・重要性を認識。同様に、自治体としての“受援計画”の必要性を認識。
・(自治)消防団と地域住民が力を合わせて、倒壊した家屋から48名の命を救った。自衛隊や警察など公助が動き出すのは発災の半日~1日後。自助や、自治会の自主防災組織などの共助の大切さを再認識。

〇復旧・復興のための資金
・東日本大震災を経験された首長から『お金の心配はしなくていい』とアドバイスを受けたが(山神も明治大院時代に総務省の現役役員からまったく同じ教えをいただきました)・・・。復旧復興に要したお金は1,271億円、そのうち139億円が町の負担。現在もその返済を続けている・・・。これが現実、と言わざるを得ず。

「なんでもない毎日が宝もの」
震災3か月後に作成した益城町のPR動画のワンフレーズ。西村町長は『熊本地震を経験したことで、この言葉の重みをあらためて痛感しつつ、もう一度「なんでもない毎日」を築き上げるため、全力で取り組んでいます』との言葉で締めくくられました。

人と自然が調和した田舎モダンのまち・開成町 町長 山神 裕