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2024/9/11 神奈川県CIO兼CDO 江口清貴氏講演会『防災とDX』

防災の日・9月1日(日)、開成町福祉会館にて、開成町防災講演会が開催されました。

講師をお願いしたのは、開成町在住の江口清貴氏。非常に多くの肩書をお持ちで、マルチにご活躍されております。代表的なところで、神奈川県情報統括責任者(CIO)兼データ統括責任者(CDO)LINEヤフー(株)執行役員防災DX官民共創協議会専務理事などをお務めでいらっしゃいます。

江口氏は、年初に発生した能登半島地震において、発災直後から防災DX官民共創協議会(以下“BDX”)の一員として活動開始、1月7日に現地入り。

石川県庁内にBDX拠点を設置し、避難所のデータを集約・整理の上、総合的管理を支援、震災特設ページを開設、スターリンク(※1)導入による通信環境の整備など、被災地の復旧復興と避難所生活の支援に貢献されました。

8月に南海トラフ地震臨時情報が初めて発表され、その直後に神奈川県西部地域を震源とする最大震度5弱の地震が発生、さらには台風7号・10号の脅威に晒された直後であり、且つこの日は関東大震災から101年目の日にあたり、町民の皆さんにとっても防災や自然災害への関心が自ずと高まった中での開催となりました。

講演では、その能登半島地震におけるご経験等も踏まえ、“防災におけるDX“を中心にお話いただきました。講師が他ならぬ開成町民であり、身近な話題も織り交ぜていただいたこともあり、非常に有意義な学びををいただくことができました。質疑応答も活発になされ、非常に丁寧にご対応いただいたことを含め、江口氏には感謝のことばもありません。

※1 スターリンク: スペースX社が開発したブロードバンドインターネット。関連サイトはこちらから。

講演の要旨は以下の通りです。

〇DXについて

・物事のデジタル化はデジタイゼーション。
・次の段階は、個別業務(プロセス)のデジタル化 = デジタライゼーション。
・さらに次の段階が、デジタル技術による全体業務の変革 = デジタルトランスフォーメーション(DX)

自治体DXの一丁目一番地は“データの利活用”

〇防災におけるDX

・目指す目的地は“救助が不要な世界”。その目的地に到達するためにはDXが不可欠。
・災害関連死をゼロにしたい。そのためにはDXをフル活用する必要がある。
・デジタル化で被害を減らすことは可能。例えば、防災スピーカーだけでは声が届かない。“スマホ”をフル活用する必要。
・神奈川県は、罹災証明のデジタル化を目指す。紙+写真を役所に出向いて提出する手続きから脱却したい。
・避難所運営もデジタル化によってより円滑な運営が可能になる。カギは多様かつ膨大な量の“情報”をいかに整理・処理するか。

〇能登半島地震 被災地で実際に取り組んだこと

・総合防災情報システムを立ち上げ、まずは①避難所情報を収集し、場所と人数を特定(実際は、指定避難所だけに避難するわけではなく、ビニルハウスや民家の2階など様々なところが避難所になる。それらを含めたすべての情報を漏れなく収集&管理)。

・次に②避難者情報を収集し、支援対象を特定。
・最終的に、③どこにいても、ニーズに応じた支援が迅速かつ効率的に受けられるようになっている。

・Suicaを活用して、避難者情報を把握できるシステムを開発。入浴施設利用時などにも活用。

〇神奈川県が目指していること

・県と市町村が共同利用できるデータ統合連携基盤を整備し、DXを推進していく方針。DX推進を通じて、様々な課題の解決を目指す。
・まずは防災分野から始めたい。具体的には、災害時における他自治体との迅速な情報共有、BCP対応、人材などのシェアなどを図る。

質疑応答にて、“なぜ、移住先として開成町を選ばれたのか?”との質問に対して、多少の冗談も交えながら、地盤の固さをひとつの根拠として挙げていただきました。

以前にお住まいだった東京都国分寺市も同様とのお話でしたが、重ねるハザードマップ(※2)において、各地の過去の姿(河川だったか等々)を確認した上で選ばれたとのことでした。ありがとうございます。

※2 重ねるハザードマップ:
国土交通省と国土地理院が提供しているサイト。全国の任意の地点の洪水や土砂災害、高潮、津波に関するリスク情報、道路防災情報、そして、土地の特徴・成り立ちなどに関する情報が入手できる。※サイトはこちらから

人と自然が調和した田舎モダンのまち・開成町 町長 山神 裕