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2024/12/24 桑名中央図書館を視察してきました

過日、三重県桑名市の中央図書館をプライベートで視察してまいりました。個人的に、開成町の図書館かくあるべきとの像を描くための活動の一環として。

日本初のPFI方式

桑名市は2004年に旧桑名市と長島町、多度町が合併して誕生した市です。人口 13.5万人、面積約137㎢。

市立図書館は3館あり(長島輪中図書館、ふるさと多度文学館)、そのひとつです。日本で初めてPFI方式によって建設・運営されている図書館です(※1)。ちなみに、二件目は稲城市立図書館であり、2022年にプライベートで1度、今年、町職員とともに視察させていただきました。

※1:サービス購入型のPFI。事業期間30年間。施設の保有はBOT方式。利用実績・サービス実績に応じて、桑名市が事業者に支払うサービス購入料が変わる仕組み。開館から3年間は年間5万冊、以後は年間1万冊を購入するとの取り決めがある模様です。

複合施設

桑名市立中央図書館が入居する“くわなメディアライヴ”は、4階建て、保健センターや勤労青少年ホーム、多目的ホール、カフェ、プレイルームなどが入居する複合施設となっています。

市の中心部に位置し、エキチカではないものの、JRと近鉄桑名駅から徒歩5~6分、桑名市役所から徒歩2~3分の立地です。延床面積は約3,170㎡、蔵書数は約38万冊です。

感想等

感想等を以下の通り、お伝えします。
開館時間が9時~21時までと長く(他の2館は17時まで)、より多様なニーズに対応。PFI方式導入による成果とされます。

wifiはFREE SPOT(公衆無線LAN)に接続することで利用可能。この時代、居場所であり、交流拠点たる図書館にネット環境は必須です。

・蓋つきの容器に入った飲み物は座席でも可。飲み物コーナーは飲食可。今日の図書館は飲食可が前提になりつつあると感じています。

学習スペースは3か所、計74席。非常に充実しています。しかも、専用サイトもしくは館内の「セルフ座席予約システム」で予約可。利用者目線でありがたいシステムです。ただ、費用対効果で見ると、相応の規模が求められるのも事実かと思います・・・。

・読書テラス(3階と4階)はもちろん天候・季節によるものの、非日常を味わえそう、また、サードプレイス的な雰囲気があります。

・ビデオ・DVDなどが鑑賞できるコーナーが非常に充実。しかしながら、週末ではあったが、実際に利用されている方はなし。サブスクの普及などにより、(公立)図書館内に設置する需要は後退しつつある?との印象です。

・常設のパソコン数も多く、パソコン利用が可能なスペースも羨ましいくらい広く設けられていました。(この日の利用者は少なかったが)落ち着いて仕事や勉強に打ち込めそうな空間でした。

・自動貸出機が3台設置されており、利用者の利便性の向上が図られているとの印象。同時に、職員数の削減が可能となった模様です。

図書館を使った“調べる学習コンクール”を長年実施中。開館20周年記念によるものである可能性がありますが、他にも“ブックカバーコンテスト”や“人生を変えた1冊”など市民参加型の特設コーナー・取り組みが展開されていました。情報発信拠点、学びの拠点として十分機能していると感じました。

・他の公立図書館でも見る光景ではあるが、新聞・雑誌コーナーには多くのシニア層の姿。毎日の日課であり、居場所となっているものと推測されます。

※桑名市立図書館のホームページはこちら

まとめ

・私にとって関心の強い学習スペースはとても充実していました。そこにニーズがありと判断している証左であろうことから、意を強くした次第です。実際に、訪れたのが週末ということもあってか、中高生と思しき利用者で満席でした。

学習スペースは、スマホからも予約可能であり、利用者目線にたった運営がなされている点は、運営業務を民間委託していることの効果のひとつと考えられます。

前述の通り、費用対効果で見ると、相応の規模が求められることと思います。ただ、近年、より安価で遜色ない機能を発揮するシステムやアプリも少ないことから、今後、選択肢が広がることを期待してます。

・また、開成町において、図書館業務の(指定管理を含む)民間委任・委託が相応しいかどうかは十分な調査研究が不可欠です。何故なら、ここでも“規模”によって、費用対効果が著しく異なるものと考えられるためです。

個人的には、コスト・費用対効果が非常に重要であることも踏まえ、町民による手作りの、町民の思い入れの強い図書館が望ましいと考えています。

・DVD等の視聴コーナーへのニーズは全国的に後退気味との印象をあらためて受けました。

今後も時間を作って全国の図書館を見て回りたいです。

人と自然が調和した田舎モダンのまち・開成町 町長 山神 裕