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2024/10/30 北海道・東川町訪問記

10月4日(金)、北海道・東川町(ひがしかわちょう)を訪問しました。

友好交流を続けさせていただいている北海道幕別町の第47回産業まつりに参加させていただくこととなり、北海道に渡る貴重な機会を得て、まずは町長と既知の間柄にある比布町さんを訪れ、その比布町長に間をとりもっていただき憧れのまち・東川町さんを訪ねた次第です。

東川町

東川町は北海道の中央、旭川市の東に位置し、人口約8,500人、面積約247㎢の町。自らを“写真文化首都”と名乗る“写真の町”。1985年から“写真”を軸に、“適疎の町”のコンセプトのもと、攻めのまちづくりを進め、ここ25年間、人口が増加中です。

全国5大家具“旭川家具”の3割を製造する“木工家具の町”でもあり、また、大雪山の雪解け水の地下水を利用しており、全国的にも珍しい上水道のない町でもあります。

私自身にとって、東川町さんの取り組みには、町長就任前から強い関心を抱き、関連書籍も読み漁るなど憧れの町でした。その意味でも、今回の訪問・視察は非常に有難く、意義のあるものでした。

今回、同町・菊地町長にご案内いただき、視察をさせていただいた施設や取り組みの一部について、以下の通り、ご報告いたします。

※東川町に関する過去の投稿はこちらから
攻める自治体!東川町 その1/4
攻める自治体!東川町 その2/4
攻める自治体!東川町 その3/4
攻める自治体!東川町 その4/4

「美しい東川の風景を守り育てる条例」

・2002年に景観条例を制定し、環境保全と景観形成を推進。東川風住宅設計指針を策定し、庭の植栽や木材の利用、屋根の形・色、外壁の色等々、美しい街並みを実現するための細かい規定を定めた。

・代表的エリア“グリーンヴィレッジ”では、各住宅の間に緑道(官地)が設置され、ゆとりのある住空間が確保されている。ただ、その緑道の管理(清掃等)は住民自らが行うこととなっている。

飲食店が増加

・天然水を生かしたカフェや食事のクオリティの高いお店等々、町内の飲食店がここ10年間で35店舗から80店舗まで大幅増加

・東川町の物産を集めたアンテナショップ「東川ミーツ」も町内に2店舗、旭川市内に2店舗オープンするなど、知名度・ブランド力の向上にも注力。

北海道屈指の米どころ

・水田作付面積約2300ha、米作農家125戸
・北海道のブランド米「ゆめぴりか」のコンテストで最高金賞を受賞するなど、品質・味への評価が高く、ふるさと納税(令和5年度 約17億円)の返礼品約8割を占める

地域通貨

・2017年にIC型ポイントカードHUC (Higashikawa Universal Card)」をスタート。目的は“地域内で経済(≒お金)を循環させること”。町内の100以上の店舗で利用可能

町民のみならず町外の人も発行・利用可能。町民の80%が利用し、町外を含めて約10万人が利用

※私も地域内経済循環は非常に重要であると考え、地域通貨・地域ポイントに是非ともチャレンジしてみたいと考えています。しかしながら、地域の人口や店舗数などの“規模”の小ささから、想定される費用対効果が著しく低いとの見通しから踏み切れずにおります。

ただ、人口約8,500人の東川町で成功していることから、突破口はあると思います。引き続き研究していきます。

公民連携① オフィシャルパートナー制度

・東川町や日本の未来、人々のライフスタイルを育むことを目的とする制度。東川町とつながりのある企業や団体とパートナー関係を構築し、地域から地球規模の未来を育む挑戦に取り組むもの!!!

・具体的には、日本郵便(株)や慶応大との「東川町リビングラボ」の実践、日本航空(株)とのワーケーションの提案、CKD(株)との農業自動化による生産性の向上等々、公民が連携して取り組んでいる。

公民連携② 企業版ふるさと納税

・「写真の町」推進事業や福祉人材育成事業、奨学助成事業などに対して、令和4年度は約6億円の寄附を集めた。

奨学助成事業は東川町から都市部や海外などへ進学する者、地域外から東川町へ進学する者が対象。趣旨に賛同した(株)ホクリクが“モデルケース”の構築を目指し、2020年度以降毎年、1億円以上を寄附。東川町内から町外へ進学する者のほぼすべてが利用しているとのこと。

公民連携③ 地域活性化起業人

・総務省が創設した制度。三大都市圏に所在する企業が社員を地方自治体に一定期間(6か月から3年)派遣し、地方自治体が取組む地域課題に対し、社員の専門的なノウハウや知見を活かしながら即戦力人材として業務に従事することで、地域活性化を図る取組。

・現在、日本航空(株)やホリプロ、CCCなど8社から9名が派遣され、観光振興や図書館運営、留学生の就職支援、DX推進などにおいて活動している。

・ちなみに、地域おこし協力隊員は現在約80名、市町村では全国最多とのこと。

※これら“公民連携”事業に関して、最も驚くべきは、現在は東川町からの営業・依頼活動は行っておらず、すべて企業・団体の方からのアプローチに基づき実現しているということ。いったん、仕組みが構築され、機能し、認知度が高まると放っておいても回るという実例。もちろん、この域に達するまでには相当な努力と相応の時間を要したことは言うまでもありませんが。

まとめ

・“攻める自治体・東川町”を直に見て、学べたことは非常に有難かったです。お忙しいところ、時間を割いてご案内いただいた菊地町長には感謝のことばもありません。

参考になる取り組みは少なくないが、その一つひとつが質量ともに傑出しており、追いかけようにも暫くは背中も見えない、といった印象。今回受けた強い刺激とショックを、少しでも未来の開成町のまちづくりに活かしていきたいと思います。

また、今後も、多くの自治体の“現地”を見て、学び、それを開成町のたゆまぬ発展のため、開成町民の幸せのために活かせるよう頑張っていきます。

人と自然が調和した田舎モダンのまち・開成町 町長 山神 裕